立夏を迎えたら試したい養生法

食事

2025年5月5日14時56分で、夏季の最初の節気を迎えました。

古人の言葉で「万物至此皆長大」のとおり、天地の万物は「春の生」(春に植物の芽が出たり、冬眠の生き物が目を覚まし冬眠を終えたりするので、春は万物が生まれると表す)から「夏の育ち」(春に目を出した植物たちが夏に成長をすることから)へと移行し、陽気がますます旺盛になる時期となります。

人間もまた、特に成長期の子供たちは、腎の精気と陽気が必要不可欠な「育ちの時期」を迎えます。

民間に「一夏無病三分虚」と言われるように、夏は陽気が外に出て体を消耗しやすい時期です。

なぜ夏に体が虚するのか?

1. 汗による陽気の消耗

夏の暑さで大量に汗をかくと、津液(体内の水分)が流失し、「気随津脱」となり陽気が損なわれます。これにより、倦怠感や免疫力低下が起こりやすくなります。

2. 外熱内寒の体質

《傷寒論》にも記載されているように、夏は陽気が体表に集中し、胃腸は相対的に虚冷な状態となります。このため、脾胃の運化機能が低下し、気血の生成が不足しやすいのです。

消耗したエネルギーを回復させる方法とは?

民間では立夏の時期に「立夏卵」を食べる習慣があります。7日間続けて食べることで、腎の気を高め、陽気を養い、脾胃を健やかにして夏の疲れを防ぐことができます。

卵には、乳幼児の成長に必要な卵白アルブミンと卵黄グロブリンが含まれていて、これらは人体のタンパク質構成と類似しており、吸収率が高いんです。
子供の成長期のタンパク質補給、体質の虚弱な方の栄養補給、産後の母親の身体回復にも、卵は欠かせない存在です。
中医学では卵を「血肉有情の品」とされり、心経と腎経に通じ、陰を滋養して燥熱を鎮め、心を養い安神する効果があるとされています(『本草経集注』)。
ただし、中医学では卵の栄養成分だけでなく、食物の性質が自分の体質に合うかどうかを考慮する「以人为本(人を基盤とする)」の考え方が重要です。
まず大前提として、子供または自身が卵アレルギーの有無を必ず確認し、問題がないことを確認した上で、以下の内容を参考にしてください。

実際に、卵の調理法にもこだわりがあります。
まず、卵には消化しにくいという欠点があります。中国の古文書に「丸ごと煮て食べると、性質上極めて消化しにくく、満腹感は得られるものの、消化が非常に難しい」と記されています。

ということで、卵は消化しにくいため、次のような工夫が大切です。

おすすめの2つの食べ方

1. 分心木(胡桃の隔壁)入り紅茶卵

• 材料:卵8-10個、分心木6個、紅茶10g、桂皮、八角、陳皮、塩、黒糖適量

• 作り方:1、卵が十分に茹で上がったら軽く殻を叩きわる(殻は剥かない)

     2、適量の水と他の材料を鍋の中に入れ強火で沸騰したら弱火にし、20分煮る。

     3、卵を入れて塩少々、さらに20分煮る。

     4、一晩寝かせ出来上がり。

• 効果:分心木は腎の気を高め、陽気を養い、脾胃を健やかにして『健脾固腎』、紅茶の温性で卵の寒性を中和。香辛料は脾胃を活性化し、消化しにくい卵を消化しやすく促進する作用がある。

• こんな方に:食欲不振、不眠、疲労、成長期の子供。

2. 卵の湯(卵茶)

•材料:卵一つ、ごま油、蜂蜜少量

• 作り方:卵をコップの中へ入れて溶く、蜂蜜を入れて熱湯で溶かしてごま油を適量入れて飲む。

• 効果:消化しやすく、陰を潤し心を鎮める作用があります。

注意点

• アレルギー確認:卵アレルギーの有無を必ず確認してから食用してください。

• 寒さに注意:夏でも冷たい飲食物を控え、脾胃を冷やさないように心がけましょう。

夏は陽気が外に出る時期ですが、これらの食養生で体内の陽気と腎の精気を補い、天地の節律に合わせて健康に過ごしましょう。

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