「自律神経が乱れる原因とは?体質別の整え方を中医医師がわかりやすく解説1」の続きから
本記事では、中医医師の視点から自律神経の乱れを体質別に解説します。
自律神経の乱れは、すべて同じ原因で起きているわけではありません。
中医学では、
- 流れが滞っているのか
- エネルギーが不足しているのか
- 潤いが足りないのか
- 体の土台が揺れやすいのか
によって、整え方が変わると考えます。
ここでは、体質別に具体的な養生法を解説します。
肝気の乱れタイプ(ストレス過多タイプ)の整え方
◾️このタイプの特徴
イライラしやすい、ため息が多い、胸がつかえる感じがあるなど。(全文を参照*)
肝は”気の流れを整える交通整理役”です。ストレスで渋滞すると、自律神経も乱れます。
◾️食養生
- 春菊、セロリ、三つ葉など香りのある野菜
- ブロッコリー、ほうれん草、ワカメなど
- 柑橘類(みかん、ゆず)、りんご、ぶどう、ブルーベリー
- ジャスミン茶、菊花茶、バラの花茶、枸杞の実、陳皮
「香り」は気を巡らせる助けになります。
*ドリアン、ライチ、マンゴーは避けましょう〜〜
◾️養生茶
- 薔薇陳皮茶:薔薇の花3-5輪+陳皮2g(気の流れを整え、情緒を安定させる作用があります
- 菊花枸杞茶:白菊花3g+枸杞の実6-10粒(肝火を鎮め、怒りを抑え目の乾燥を防ぎます)
◾️生活養生
- 1日10分の深呼吸
- 軽い散歩やストレッチ、ヨガ
- 我慢しすぎないこと(泣きたい時は泣く)
”発散”がキーワードです。
◾️避けたいこと
- 夜更かし(23時前には就寝)(23~3時は肝胆が休息する時間)
- 強い怒りを溜め込む
- 長時間のスマホ
- コーヒー、栄養ドリンク
- 辛辣味が濃いもの、油物
- ストレスを溜め込む
◾️ツボ押し(一日3−5分)
- 太沖:肝気の流れをよくする第一のツボ、イライラを抑える
- 合谷:緊張を和らげる
- 内間:心臓の動きを安定させる、動悸不眠の改善
- 膻中:気の流れを整え、胸のつっかえを取る作用がある
気虚タイプ(エネルギー不足)の整え方
◾️このタイプの特徴
疲れやすい、朝が弱い、風邪をひきやすい、記憶力の低下、食欲不振など
気は”体のバッテリー”です。
充電不足では自律神経の切り替えがうまくいきません。
◾️食生活
- 米、粟、山芋、カボチャ、さつまいも、にんじん
- 鶏肉、豆類、卵
- 暖かいスープ
- ナツメ、ブドウ、桜桃
*冷たいものは控えめに。
◾️養生茶
- 黄芪ナツメ茶:黄芪5-10g+ナツメ3個(気の補充)10分ほど煮る
- 山芋枸杞の実茶:乾燥山芋5g+枸杞の実3g(脾胃を養う)10分ほど煮る
- 党参龍眼茶:党参6g+乾燥龍眼2個(脾胃の補充、心の安定、動悸不眠の改善)10分ほど煮る
◾️生活養生
- 1日7-8時間の睡眠を確保、夜更かしを避けて23時までに就寝
- 激しい運動をしない
- 休むことを罪悪感にしない
- ストレスを溜めない
”補う”がキーワードです。
◾️避けたいこと
- 過労
- 食事抜き
- 冷たい飲食物
◾️ツボ押し(1日3-5分)
- 足三里:気を補充する第一のツボ、脾胃の調和補充
- 気海:気の補充、気の流れを整える
- 関元:気の補充
- 脾俞:脾胃の気を整え、気血を作る促進
血虚タイプ(栄養不足)の整え方
◾️このタイプの特徴
不安感、動悸、眠りが浅い、眩暈、物忘れ、常に疲労を感じる
血は”心と体を潤す栄養”です。不足すると神経が過敏になります。
◾️食生活
- 卵の黄身、レバー
- ほうれん草、ニンジン、山芋
- あずき、黒豆、胡桃、黒胡麻、ナツメ、粟
よく噛んで食べることも大切。
◾️養生茶
- ナツメ龍眼茶:ナツメ5個+龍眼3個を10分ほど煮る
- 当帰枸杞の実茶:当帰3g+枸杞の実10粒をお湯を入れて飲む
◾️生活養生
- 目を酷使しない
- 寝る前のスマホを止める
- 1日7-8時間の睡眠を確保、夜更かしを避けて23時までに就寝
- 太極拳など有酸素運動を1日30分ほどすると良い
- 雑音が多い所より静かのところで神経の刺激を減らす
”養う”がキーワードです
◾️避けたいこと
- 激しい運動
- 夜更かし
- 考えすぎない
- 過度なダイエット
◾️ツボ押し(1日3-5分)
- 血海:血の補充養い、気血の循環を調整し、血虚による自律神経の乱れを改善する効果がある
- 三陰交:血を養い、心を落ちつかせる作用がある
- 神門:心を落ち着かせ、自律神経の乱れによる不眠、動悸の改善
- 足三里:脾胃の調和補充、気血生産の促進
陰虚タイプ(潤い不足)の整え方
◾️このタイプの特徴
ほてり、寝汗、口の渇き、夜中に目が覚める。
陰は“体の冷却水”です。不足するとオーバーヒート状態になります。
◾️食生活
- 粟、豆腐
- 白きくらげ
- 梨、グレープフルーツ、ブドウ、ブルーベリー、桑の実
- 百合根、山芋、蓮根、ほうれん草
辛いものは控えめに。
◾️養生茶
- 百合蓮子茶:百合10g+蓮子6g+氷砂糖(味の好みで適量)10分にる
- 麦冬枸杞の実茶:麦冬8g+枸杞の実10gを10分ほど煮る
◾️生活養生
- 夜のリラックスタイムを作る
- 激しい運動を控え、適度な有酸素運動
- 加湿器で湿度を保つ
◾️避けたいこと
- 睡眠不足、夜更かし(夜更かしは何よりも津液を傷つけ陰虚がさらに悪化します)
- 過度なストレス、疲れを溜めない(長期的に緊張状態にあると陰血を傷つけ自律神経が乱れる)
- 辛辣な刺激的食べ物を避ける(元々陰虚で火が強いので辛辣な食べ物は悪化させます)
- 暴飲暴食、冷たい飲食物は避ける
◾️ツボ押し(1日3-5分)
- 三陰交:肝脾腎の陰気を養い、内分泌、自律神経を整える作用があります
- 太渓:腎陰を補充、陰虚による不眠、イライラを改善
- 神門:心を落ち着かせ、自律神経の乱れによる不眠、動悸を改善
- 涌泉:陰の補充し火を沈めて睡眠の改善作用
- 百会:心を落ち着かせ脳の働きを良くします。
先天的虚弱傾向タイプ(体の土台が揺れやすいタイプ)
◾️このタイプの特徴
子どもの頃から体が弱い、刺激に敏感、回復が遅い。
これは「弱い」という意味ではなく、“揺れやすい体質”という特徴です。
建物で言えば、基礎がやや繊細な状態。まずは土台を整えることが重要です。
◾️食生活
- 山芋、粟、百合
- なつめ、蓮子
- 豆類、黒胡麻、胡桃
- 鶏肉、鮒
- ブドウ、りんご(柿、スイカなど冷える食べ物は避ける)
◾️養生茶
棗龍眼枸杞茶:ナツメ2個+龍眼2個+枸杞の実5粒(気の補充血を養い、心を落ち着かせます)
山芋蓮子茶:乾燥山芋3g+蓮子3g+氷砂糖適量10分ほど煮る
百合麦冬茶:乾燥百合3g+麦冬2g
◾️生活養生
- 規則正しい生活
- 無理な環境変化を避ける
- 休息を最優先にする
“守る”がキーワードです。
◾️避けたいこと
- 無理な挑戦
- 刺激の強い環境
- 睡眠不足、夜更かし
- 冷たい飲食物、辛辣刺激物、油物はなるべく避ける
- 激しい運動
- 濃いお茶、コーヒーは避ける
- アルコール
- 考えすぎない
◾️ツボ押し(1日3-5分)
- 足三里:脾を養い気を補充し、免疫力を上げる作用があります
- 神門:心を養い、神経を整えます
- 太渓:先天の腎気を補う
- 百会:緊張をほぐし、陽の気を
まとめ
自律神経の乱れは、単なる「神経の問題」ではありません。
自分の体質を知ることが、整える第一歩です。
中医学では、
- 巡らせる
- 補う
- 養う
- 冷ます(冷やすとは違う)若しくは温める
- 守る
という視点で体を整えていきます。
体質に合った養生を続けることで、自律神経は少しずつ安定していきます。
焦らず、自分のペースで整えていきましょう。
〜〜余談〜〜〜
中医には陰陽という概念があり、陰と陽のバランスが崩れることにより病気になるとされています。
そして、
中医では交感神経を陽、副交感神経を陰とみなし、
- 交感神経が優っている状態:「陽盛、陰虚、肝火」:緊張、興奮、鼓動が早い、暑がり、不眠、怒りっぽい、便秘、顔が赤く目が赤い、血圧が高い、口が乾く
- 交感神経が弱っている状態:「陽虚、気虚」:落ち込みやすい、反応が鈍い、血圧が低い、手足が冷えている、動力不足、疲れやすい、寒がり
- 副交感神経が優ってる状態:「陰盛、陽虚、痰湿」:消極的で言葉数が少ない、常に眠気が強い、食欲不振、下痢、お腹が張る、眩暈、むくみ
- 副交感神経が弱っている状態:「陰虚、津液不足」:不眠、手足が熱く感じる、考えすぎる、喉が渇く、寝汗をかきやすい、便秘
「自律神経が乱れる原因とは?体質別の整え方を中医医師がわかりやすく解説1」の記事はこちらから



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